「伊織の足をひたすら舐める動画(仮題)」企画 コンセプト:  一見コメディのようですが、シリアス、ホラーテイストの作品です。  最初はタイトル通り、ひたすら伊織の足を舐める、という文章の描写を流します。  その裏で、伊織の辛い過去をカットバックで映し、“足を舐める”という行為に深い意味があるということを示唆します。  タイトルとサムネイルで視聴者を惹きつけつつ、動画の内容とのギャップを狙います。  同コンセプトの参考動画……「響を飼うことになった http://www.nicovideo.jp/watch/sm9610787」 動画形式;  Dead Island(http://www.nicovideo.jp/watch/sm13623918)のトレーラーBGMに合わせた、三分程度の動画。  CG+文章で構成されたノベル形式。  画面サイズは、16:9の、1280×720。  主にAfter Effectsで制作。 必要な絵:  全部で三枚です。  伊織は基本的に椅子に座り、プロデューサーに向けて(画面に向けて)素足を差し出している姿勢です。  このうちの一枚をサムネにも使います。 ・伊織の全身(首から下は描かない) ・伊織の足のアップ ・伊織の顔。レイプ目(瞳にハイライトがない)で、涙を流している。口元は閉じて、笑っている。 脚本:  つま先にキスをする、というのは、その対象に服従を示すものらしい。  じゃあ、ぼくが今している、足を(舐/ねぶ)るという行動は、どういう意味があるのだろう? ■伊織のつま先  ――ほら。  伊織はそう高圧的に言うと、ぼくの顔の前にそっと素足を差し出してきた。  目に眩しいほどの肌の白さは、処女雪のよう。真っ直ぐ揃った五本の指にちりばめられた、足指の爪の淡い桃色は、どこか花を想像させる美しさ。直線的な足のラインの中、ふっくらとした(踝/くるぶし)は、人の手で造形された宝石じみたカーブを描いている。  無駄な肉の一切ない、成長途中の少女の足。なのに男の目を惹きつけてやまない、艶めかしさも内包していた。 ■カットバック。事務所に伊織 「ええええっ、本当? じゃあ、私、ついにデビューなのねー!」 ■つま先  ――舐めなさい。  ぼくは言われた通り、そっと口づけした。ほっそりしたつま先は、強く握ったら押し潰れてしまいそうだ。  そのまま、ゆっくり舌を這わせてゆく。 ■カットバック。TV局の前の伊織 「なかなかオーディション、勝てないわね……」 「きーっ、この私がこんなとこで燻ってるなんて、許せないわっ!」 ■つま先  ぼくは伊織の足、その親指を口に含んだ。爪の先、指の肉との隙間をじっとりと舐る。指と指の間にまで舌を差し込む。  本来そこはほとんどが骨の硬い感覚なのに、驚くほど柔らかい。  ――ん……っ。  ぴく、と伊織の体が打ち震えた。くすぐったいのだろうか、細い親指が口内で僅かに曲がる。深く、ぼくの舌の肉に沈み込む。  ぼくは包み込むように舌を動かし、指の腹をなぞる。指紋の一筋まで分かるほど、強く執拗に。 ■カットバック。ライブハウスにいる伊織 「……アイドル、って、こういうこともするのね」 「いいわよ、耐えてやるわ、これくらい……!」 ■つま先  それからぼくは、五指を親指から順々に、舌で湿らせていった。  柔らかなミルクのような体臭と、不思議とほのかな甘みがする。強く吸えば吸うほど、花の蜜のように分泌されてくる。  止まらない。この甘露の前に、口を休めることなどできない。まるで善悪の知識の実に手を伸ばしたイヴの気分だ。 ■カットバック。引退コンサート後の道に立つ伊織 「え……? なによ、それ……」 「どういう、ことよ……っ!」 ■つま先  無垢な少女が水たまりを跳ねて歩くような音。  ぼくの唾液で濡れそぼった五指は、(仄暗/ほのぐら)い明かりに照らされ、てらてら光っている。粘着質な液体は、にちゃにちゃと卑猥な音を立て、指と指の間に透明な糸を引く。  彼女自身も汗をかいてきたのか、ぼくの鼻腔を汗の淡い香りがくすぐった。 ■カットバック。引退コンサート後の道に立つ伊織 「嘘よ、ね……!? だって、それじゃ私たち、騙されたようなものじゃない……っ!」 「どうすれば、いいのよ……っ!?」 ■伊織の顔(目は映さない)  ――ふふ、犬みたいね。  ぼくを嘲るような伊織の声。  何分そうしていただろうか。何十分か。それとも、何時間?  幾度となくつま先にキスをして、口に含んで、唾液で湿らせて――(陵辱/あい)していった。  ――首輪でも、買ってあげましょうか。それとも、  それとも、 ■カットバック。呆然と立ちつくす伊織 「…………」 「もう……私には、何もないわ……」 ■暗転  つま先にキスをする、というのは、その対象に服従を示すものらしい。  じゃあ、ぼくが今している、足を(舐/ねぶ)るという行動は、どういう意味があるのだろう?  例えば、 ■初めて伊織の顔が映る。涙を流している  ――ずっと、私と一緒にいてくれる?  例えば、一生の隷属を表すような。  ぼくは、ずっと側にいるよ。